遺産分割協議書の作成・書き方(ワードひな形 無料公開中)


 遺産分割の方針により、負担すべき税金が大きく異なることがあります。

 どの財産を誰が取得するのか、誰がどのくらいの財産を取得するのかをうまく工夫することで、相続税の負担を減らすことも可能です。

 なお税理士事務所ウェルタックスでは「遺産分割協議書」の個別サポートサービスご提供もございます。当該サービスをご希望される方は、お気軽にお問い合わせ下さい。

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遺産分割協議書(ワードひな形)
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.【遺産分割協議書とは】

 ご家族が亡くなった場合には、相続人同士で話し合い、残された財産を「誰が」「何をもらうか」を決めなければなりません。

 そして、この決めた内容を書面にしたものを「遺産分割協議書」といいます。

 原則、複数の相続人がおり、かつ遺言書がない場合には、遺産分割協議書を作成する必要があります。

<作成におけるポイント>

 相続税は遺産分割の方法によって、支払うべき金額が大きく変わる税金です。 

 税理士事務所ウェルタックスでは、「遺産分割協議書」の作成サポートサービスのご提供もございますので、ご希望の方はお気軽にお問い合せ下さい。

2.【遺産分割協議書を作る必要があるケース】

<ケース1>遺言書がない場合

 自宅等の確認や公証役場での検索をし、遺言書が遺されていないか調査します。

<ケース2>遺言書にない財産がある場合

 遺言書はあるけれど、遺言書に記載されていない財産がある場合には、その財産を「誰が」貰うか話し合う必要があります。

<ケース3>遺言書と異なる遺産分割をしたい場合

 遺言書がある場合、原則その内容どおりの遺産分割が行われます。ただし、全ての相続人が同意した場合には、遺言書の内容とは異なる遺産分割を行うことができます。

.【遺産分割協議書の用途と提出先】

 遺産分割協議書は、主に税金の申告関係や財産の名義変更手続きの際に必要になります。

□相続税の申告手続き(提出先:税務署)

□財産の名義変更手続き

・預貯金(提出先:銀行・郵便局など)

・有価証券(提出先:証券会社など)

・不動産(提出先:法務局)

  ・自動車(提出先:陸運局)

.【遺産分割協議書作成に必要な書類】

□亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本

□亡くなった方の住民票の除票

□相続人全員の戸籍謄本

□相続人全員の印鑑証明書

□分割対象となる財産に関する資料

 

5.【遺産分割協議書の作成までの流れ

 遺産分割協議書は、いつまでに作成しなければならないという期限はありません。

 ただし相続税の申告が必要な場合、それに間に合うよう作成しましょう。(相続税の申告期限:相続が発生して10か月以内)

 また相続した不動産を売却したい場合、名義変更手続きを終えている必要があり、この名義変更手続きには遺産分割協議書が必要となります。

①遺言書を探す

 自宅や入院先の病院、入所先の施設や貸金庫などに遺言書が保管されてないか調査します。また公正証書遺言の場合、全国の公証役場で検索することができます。

②相続人の把握

 ご家族が亡くなった場合、まずは相続人を調査します。具体的には亡くなった方の出生時から亡くなるまでのすべての戸籍謄本を集めます。その後、亡くなった方の戸籍謄本をもとに相続人の戸籍を集めます。この戸籍謄本は本籍地のある市役所で取得することができます。

 ③財産の把握

<金融資産>

 自宅などを調査し、通帳や金融機関からの郵便物などが無いか探します。見つかった資料を参考に、各金融機関に問合せを行い「残高証明書(亡くなった日時点のもの)」の発行依頼をします。

 

<不動産>

 自宅などを調査し、市役所からの郵送される固定資産税課税明細書などが無いか探します。

また固定資産税評価証明書がない場合、不動産がある市区町村役場で「名寄帳(亡くなった年のもの)」を取得することもできます。

  

<生命保険>

自宅などを調査し、保険証書や保険会社からの郵便物などが無いか探します。見つかった資料を参考に、各生命保険会社に問い合わせをし、必要に応じて保険金の請求や名義変更の手続きなどをします。

 

<その他の財産の調査>

自宅などを調査し、貴金属や骨董品、絵画などがないか調査します。

また自宅などに届く郵便物などを参考に、各会社へ問い合わせをします。

④遺産分割協議の開始

 相続人と相続財産を把握できたら、相続人間で残された財産を「誰が」「何をもらうか」を決める話し合いを行います。

 ⑤遺産分割協議書の作成

 遺産分割協議の内容について、全ての相続人が合意した場合、その合意した内容を遺産分割協議書として書面にします。

.【遺産分割協議書の書き方】

①書式について

 遺産分割協議書の形式や書式については、決まったルールはありません。

 縦書きや横書き、手書きやワープロなどちらでも大丈夫です。

②作成する部数について

 作成する部数は、1部でも構いませんが、相続人の数と同じ部数を作成し、各相続人に保管してもらうことで、その後の相続手続きがスムーズに行うことができます。

③記載する内容について

 遺産分割協議書は、主に<1.被相続人の表示><2.相続人の表示><3.遺産の分割方法><4.相続人の署名・押印>の4つ要素で構成されます。

 <1.被相続人の表示>

 被相続人の「氏名」「本籍地」「最後の住所地」「生年月日」「死亡年月日」を記載します。

 

<2.全ての相続人の表示>

 遺産分割協議を行った全ての相続人の「氏名」を記載します。

 

<3.遺産の分割方法>

 各財産が特定できるようにするため、必要な情報を正確に記載します。

□不動産

 土地:「所在」「地番」「地目」「地積」

 建物:「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」

 土地の場合は1筆毎に、建物の場合は1戸・1室毎に「不動産全部事項証明書」の記載のとおりに正確に記入します。

 

□預貯金

 「金融機関」「支店名」「口座の種類(普通・定期など)」「口座番号」を記載します。

 銀行口座毎に誰が、どのくらいの割合で取得するかを記載します。

 

□有価証券

 「証券会社」「支店名」「顧客番号」「口数」を記載します。

 証券口座毎に誰が、どの株式などを取得するか記載します。

 

□自動車

 「車名」「登録番号」「車台番号」「名義人」を記載します。

 車検証で確認できます。

 

□ゴルフ会員権

 「発行会社名」「会員権の名称」「会員番号」などを記載します。

 会員権に記載されています。

 

□その他の財産(手許現金、貴金属、骨董品、絵画など)

 

□代償分割

 代償分割とは、特定の相続人が他の相続人に比べ、多額の遺産を相続し、その代わりにその遺産を取得した相続人がその他の相続人に対して、金銭などで代償金を支払う遺産分割の方法をいいます。

 例えば、遺産が不動産など分けることのできない財産である場合に行われます。

 「代償金を支払う相続人」「代償金を受け取る相続人」「代償金の金額」「振込先口座」など記載します。

 

□換価分割

 換価分割とは、不動産などの遺産をいったん売却して、その売却代金を相続人間で分け合う遺産分割の方法をいいます。

 「換価分割対象の不動産」「取得する相続人」「取得割合」「管理費の負担割合」などを記載します。

 

□債務の負担者

 「債権者」「借入契約日」などを記載します。

 被相続人に借金などの債務がある場合には、だれが負担するか記載します。

 

□葬儀費用の負担者

 葬儀費用を「誰が」「いくら」負担するのかを記載します。

 

□祭祀の承継者

 祭祀の承継者を決め、誰が仏壇、墓碑等を取得するか記載します。

 

□遺産分割協議の後に新たな財産が見つかった場合

 遺産分割協議を終えた後に、新たな遺産が見つかることがあります。

 そのような場合に備えて下記のいずれかの条項を記載します。

「新たな遺産については、別途、遺産分割協を行う旨」

「新たな財産については、特定の相続人が取得する旨」

 

<4.全ての相続人の署名・押印>

 住所・氏名については、印字でも良いのですが、トラブルを避けるため手書きが好ましいです。

 また遺産分割協議書が複数枚になる場合、これらの協議書をホチキス止めし、全ての相続人の契印(実印)を押します。

(契印とは、複数枚の書面が1つの連続した文書であることを証明するために、両ページにまたがって押すハンコのことです。これにより、協議書のページ差し替えなどの改ざん防止につながります。)

 

※相続人が住民登録のない海外居住者の場合

 相続人が海外に居住しており、かつ日本に住民登録をしていない場合には、「印鑑証明書」が発行されません。(つまり「実印」がない)

 そのため印鑑証明書に代わるものとして、「サイン証明書」を現地の日本領事館等で発行してもらう必要があります。

 またその相続人が不動産を相続する場合には、「在留証明書」も併せて取得しておくと、不動産の名義変更手続きをスムーズに行うことができます。

 

※相続人が未成年者の場合

 未成年者は遺産分割協議に参加することができないため、一般的にその親権者(両親等)が法定代理人となり、未成年者に代わって遺産分割協議に参加します。

 ただし、その親権者も相続人となっている場合には、別途、家庭裁判所で「特別代理人」を選任してもらい、その「特別代理人」が未成年者に代わって遺産分割協議に参加します。(一般的には遠縁の親戚に特別代理人になってもらうことが多いです)

 

※相続人が認知症の場合

 相続人が認知症などにより著しく判断能力が低下している場合、遺産分割協議に参加することができません。

 この場合には、家庭裁判所で「成年後見人」を選任してもらい、その「成年後見人」がその相続人に代わって遺産分割協議に参加します。

 税理士事務所ウェルタックスでは「遺産分割協議書」の個別サポートサービスのご提供もございます。当該サービスをご希望の方は、お気軽にお問い合わせ下さい。

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