税務署から相続税の税務調査を依頼された方


 税理士事務所ウェルタックスでは、「相続税の税務調査」の対応サポートを行っております。お気軽にお問い合わせ下さい。

1.【税務調査とは】

税務調査とは、税金の申告・納税が正しく行われているかチェックするために税務署が実施するものです。実際にこの税務調査が行われるのは相続税申告をした人のうち約10人に1人といわれております。

 また税務調査が行われた場合には、その約85.3%の人が何かしらの申告漏れが指摘され、追加の税金を支払っております。

 また申告自体をしていない場合でも、申告して税金を納めた人との公平性を保つために税務調査は行われます。

 

<税務署が事前に調べていること>

 税務署は自身の権限により、被相続人や相続人に関する様々な情報を取得することができます

 これらの情報をもとに、被相続人の収入や財産の情報を把握し、相続税の申告が必要であるどうかを推認しています。

□預貯金の情報(相続が発生した時点の残高および過去の入出金の取引など)

□株式などの有価証券の情報(相続が発生した時点の残高および過去の入出金や売買などの取引など)

□不動産の登記情報(不動産の保有情報な売買履歴など)

□生命保険の情報(契約内容および過去に支払われた保険金など)

□過去の税務申告の情報(所得税や法人税、相続税の申告書など)

□国外財産調書や財産債務調書(国内および国外にどのくらい財産があるかの情報)

□国外送金等調書や国外証券移管等調書(国外に財産を移転させて取引情報)

 

など

2.【税務調査の時期】

相続税の税務調査は、一般的に相続が発生してから2年以内に行われます。具体的には相続税の申告書を提出した年の秋、もしくは翌年の秋に行われることが多いといわれております。(もちろん、税務申告後2年以上が経過してから行われることもあります。)

3.【相続税の時効】

相続税の申告と納税する義務には時効があります。この時効が成立すると申告および納税をする必要はなくなります。

通常の相続税の時効:相続税が発生してから5年10か月

 

(ただし故意的な脱税行為があった場合や申告自体していなかった場合には、相続税が発生してから7年10か月)

4.【調査の対象になりやすいケース】

□相続税申告書の計算自体に誤りがある

□税理士に依頼せず相続人ご自身で申告している

□相続税の申告をしていなかった

□遺産総額が大きい(目安:2~3億円以上)

□被相続人の生前の収入(入ってくるお金)に比べて、申告されている相続財産が少ない

□逆に相続人が持っている財産が、収入に比べて多い

□多額の借入金があるのに、それに見合うだけの相続財産が申告されていない

□金融資産が多く、生前の預貯金取引で使い道が不明な出金が多い人

□海外資産が多い

□被相続人の口座から相続人や親族の口座への資金移動が多い

□生前に暦年贈与を頻繁に行っている

5.【実地調査の流れ】

 税務調査が行われる場合には、事前に税務署から「税務調査を行う」旨の連絡があります。そして日程調整を行ったうえで、実地調査の実施日が決められます。

 実地調査の当日には、税務職員2名が被相続人の自宅(自宅が売却など既にない場合には、相続人の自宅など)に訪問して実施されます。

 

<実地調査で準備しておくもの>

 実地調査では、下記の資料を税務職員から提示を求められます。積極的にこちらから提示する必要はありませんが、予め準備しておくと調査がスムーズに行われるでしょう。

□相続税申告書と参考にした資料

□被相続人のすべての預貯金通帳

□相続人のすべての預貯金通帳

□印鑑

□不動産の権利証、保険証書、香典帳など

 

<実地調査の流れ>

□午前(一般的に午前10時~12時):相続人に対する聞き取り調査

□昼休憩

□午後(一般的に午後1時~午後3時~5時頃まで):午前中の聞き取り内容をもとに、通帳などの現物資料の確認が行われます。

5-1.【午前の聞き取り調査】

 実地調査では、被相続人相続人の生い立ち、職歴、交友関係、趣味、生活水準など様々な質問をされます。これらの質問は何気なく行われますが、実際には「申告漏れの財産がないか」、「名義財産がないか」などを把握する意図があります。

 

<申告漏れの財産がないか>

・被相続人の学歴・職歴 経歴や職歴など(被相続人の収入状況を推定します)

・被相続人の生活費、趣味、ギャンブル、家計簿、介護費用や医療費など(被相続人の支出状況を推定します)

・過去の住所履歴(各住所に所在する金融機関の口座がないか)

・最後の退職状況(死亡退職金がある場合、申告されているか)

・遺言書の有無(遺言書に記載されている財産が申告されているか)

・貸金庫の有無(中身に現金などの財産がないか)

・趣味(ゴルフ会員権、絵画、骨董品などがないか)

・不動産収入の有無(それに関係する不動産が申告されているか)

・香典帳、日記・手帳・電話帳の有無(付き合いのある金融機関・保険会社を確認します)

・生活用の口座(給与受取口座、年金受取口座、生活費口座などが申告されているか)

・取引のある金融機関や投資状況(申告されていない口座がないか)

・相続の直前に行われた出金(タンス預金、名義預金などになっていないか)

・相続人や親族への多額の振込(それが贈与になるのか、貸付なるのか)

・多額の使い道が不明な出金(タンス預金や高価な資産など他の財産になっていないか)

・生命保険会社への振替状況(その保険に関係する財産が申告されているか)

・配当金の入金(その株式に関する財産が申告されているか)

 

<名義財産がないか>

 税務調査の際、特に問題になるのが「名義財産」です。

 たとえば生前の相続対策として家族名義(妻,子,孫など)で預金口座を作成し、その口座に少しずつ現預金を積み立てていくことがあります。ただその行為が贈与と認められない場合、その預金は「名義財産」となり、実質的に被相続人の相続財産とみなされます。

 この考え方は、預金以外の財産についても同様となります。つまり贈与が成立していないと判断された場合、その財産は名義財産として被相続人の相続財産とみなされます。

>>「名義財産」の詳細はこちら

・相続人の学歴・職歴・生活費(相続人の収支状況を推定します)

・相続人のある金融機関や投資状況(相続人の資産を推定します)

・配偶者など相続人の財産規模が収支状況と比較して多額でないか

・相続人名義の口座を開設した人やその通帳・印鑑を管理している人

・相続人名義の預金口座が生活口座として使われているか

・相続人名義の保険契約の保険料を負担した人

・相続人の自宅の購入資金を負担した人(過去のものを含めて)

・生前贈与の有無(3年以内の贈与が申告されているか、またその贈与が適正に行われているか)

・被相続人の健康状態・死因(意思確認能力がいつまであったか)

・被相続人が亡くなる前に財産の管理状況(通帳や印鑑、書類などは誰が管理していたか)

・被相続人の印鑑の陰影(贈与契約書など書類の押印は本当に被相続人のものか)

5-2.【午後の現物調査】

 午前中の聞き取り内容をもとに、通帳などの現物資料の確認が行われます。

<通帳>

 取引内容や記載されているメモ書きなどを確認されます。

 特に多額の出金がある場合や親族への送金がある場合、その内容を確認します。

<印鑑>

 印鑑が最近使われたかどうかを確認するために、印鑑をカラ押しすることがあります。本来ならば被相続人の死亡後には印鑑は使用されることはないはずですが、例えば贈与契約書がある場合、その契約書自体が過去に遡って最近作成されたものでないかどうかの確認します。

<遺言書>

 遺言書に記載されていて、申告されていない財産がないか確認します。

<金庫>

 自宅などに金庫がある場合には、税務職員の立会のもと金庫の中身を確認します。

その結果、現金や貴金属など申告されていない財産がないか確認します。

<申告漏れの財産がないか>

 自宅から見つかったタンス預金、貴金属、骨董品、土地の権利証、保険証書、ゴルフ会員権などが申告されているかを確認します。

<申告漏れの取引のある金融機関がないか>

 香典帳、電話帳、金融機関の名前が入ったカレンダーなどをみて、取引のある金融機関に関係する財産が申告されているかなどを確認します。

 

6.【実地調査終了後】

税務調査が終わって約2~4週間程度で、相続人もしくは担当税理士に調査結果が伝えられます。

そして相続税の税務調査の終わり方には、次の3つのパターンがあります。

 □申告是認(しんこくぜにん)

税務署が当初提出された申告書の内容は正しく行われていたと認めるものです。

そのため修正申告や追加の納税などの必要はなく、調査が無事終了となります。

 

□修正申告

 税務署から相続財産の申告漏れを指摘され、相続人も認めた場合には、相続人が自主的に申告をやり直します。作り直した申告書を提出し、足りなかった税金の納付したら調査終了となります。

 その約85.3%の人が何かしらの申告漏れが指摘されているため、ほとんどの方がこちらの対応をするのではないでしょうか。

 

□更正・決定

 税務署から相続財産の申告漏れを指摘されたが、相続人が認めない場合には、税務署により再度、追加で納めるべき税金が計算されます。もしこの決定に不服がある場合には、次の手続きを行います。

 

<不服がある場合>

□税務署へ再審査を請求する

 税務調査を行った税務署に対して、調査内容を再度検討することを求める制度です。

 再調査の請求を行う先は処分を下した税務署ですので、再調査の請求書を作成して、税務署に提出する必要があります。

請求期限:処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内

 

□国税不服審判所へ審査を請求する

 国税不服審判所に税務署の処分の取り消しや変更を求める制度です。

 税務署へ再審査の請求をせずに、直接行うこともできます。

 審査請求書を作成して、国税不服審判所長に提出する必要があります。

 請求期限:

(税務署へ再審査の請求をせず直接行う場合)

処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内

(税務署へ再審査の請求をした後に行う場合)

再調査決定書謄本を受けた取った翌日から1か月以内

 

□裁判所へ審査を請求する

 国税不服審判所の審査請求の裁決にも納得できない場合には、裁判をすることになります。

 

請求期限:裁決後6か月以内

 

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